TRAILER

イントロダクション

 「登場人物の感情を台詞ではなく musician の奏でる音色で伝える」というコンセプトで制作したshort film 『ENSEMBLE』が複数の国際映画祭にて上映されたことに伴い2021年に長編映画化。短編ではスタジオで完結していた内容を長編映画では原生林に舞台を置き換え、登場人物の衣装や舞台設定など大きく変更して制作された。
 主演にドラマシリーズ『全裸監督』(Netflix)で知られる俳優・山田孝之を弟に持ち、手塚眞監督や山口雄大監督作品に出演している椿かおりと山田洋次作品への出演などで知られる荒川ちかを迎え、映画『カメラを止めるな!』のプロデューサー役で知られる大沢真一郎や劇団モダンスイマーズの古山憲太郎、NHKの情報番組"ごごナマ"にて紹介されたTAPダンサー・LILY、カルナバケーションやWAIWAI STEELBAND等でパーカッショニストとして活躍中の岡部量平、日本代表としてチュニジアから招待されるディジュリドゥー奏者のNATAが脇を固める。
 制作陣では衣装デザインにニッキー・ミナージュのステージ衣装を手掛けた現代アーティストのショウジョノトモ、撮影にパリやベルギー、撮影に台湾で展示会を展くなど写真家として活躍中のPHOTOGRAPHERHAL、音楽にテキサスのアニメフェス・Houston Asian Pacific American Festivalで好評を博したバンド・その名はスペィドのSLF!!が参加するなど異色のプロジェクトとなっている。
 監督はBVLGARIやVIVI、POPTEENのFashion showやMASERATI、 EsquireのレセプションPARTY、国内外のNightclub、音楽イベントでVJとして活動する映像作家のTOOWA2。「音と映像を同期させる試み」を寓話的な劇映画にて試みた実験的な長編映画となっている。

あらすじ

 名前もいつの時代かも解らない人里離れた森の中。特殊な能力を持つ部族が暮らしていた。彼らはお互いの意思疎通に言葉ではなく楽器の音色を使って感情を伝え合う。部族の一員のMIYABI、MIKAは音色を上手に扱うことが出来ず部族の中で冷遇されていた。ある日、旅慣れた雰囲気の男が森にやってくる。名前をKAROUJAと言い、彼は新しい意思疎通の為の能力を身につけていた。それは音色よりも正確に意思を伝える便利な方法だったが、それは部族に受け入れられなかった。そんな中、MIYABIはKAROUJAの持つ能力に影響を受け自分も能力を覚えたいと懇願し、彼と一緒に旅立つことになる。
 数年後。MIKAは音色を上手に扱えるようになっていて、またLUMINAと友人になっていた。ある日、KAROUJAが再び森に戻ってくる。彼はかつて部族にいた人間でKITEと親友だった。KAROUJAはKITEにMIYABIが戻ってくる事を告げ森を去った。
 MIYABIが再び森に戻ってくる。彼女はKAROUJAのように音色を使うことなく意思疎通が出来るようになっていた。MIYABIはこれを部族にも広めようとする。KAROUJAの場合と違って今回はMIYABIの行動を好意的に理解する住人たちが多く、MIKAも行動を共にすることになる。徐々に部族の中で新しい意思疎通の能力を習得した人が増えてくると、LUMINAやKITEは部族で孤立するようになっていく。一方で部族の人達全員がMIYABIのように能力を習得出来る訳ではなく、各々の能力に格差が出てくるようになっていった。そんなある日、MIKAや部族の人達に異変が起き始めるのだった。

CAST

椿 かおり as MIYABI

モデルとして活躍後、俳優として活動を開始。『全裸監督』(Netflix)の主演で知られる俳優・山田孝之と歌手のSAYUKIは兄妹である。これまでに100本以上の作品に出演し、『呪怨』で知られる清水崇監督作品の『犬鳴村』、『新・星くず兄弟の伝説』(監督:手塚眞)、『アウトサイダー』(監督:マーチン・サントフリート)など、映画、テレビドラマ、舞台などで活躍。現在は、俳優、バンドのミュージシャン、映像ディレクターとして活躍中。パンクロックアイドル「池袋歌劇団」のドキュメンタリー映画を監督中で完成が期待されている。

荒川ちか as MIKA

2003年より女優として活動を開始。
映画『東京家族』(監督:山田洋次)、NHK連続テレビ小説『おひさま』(2011年)などに出演。2011年、主演したロシア映画『ヤクザガール』がルーマニアのコメディ・クルージュ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。
現在、女優としての活動のほか、映画監督としても活躍中。

Lily as TAP

中央⼤学卒業後、NYへ単⾝渡⽶。スウェーデンで開かれる世界最⾼峰のタップフェスティバル「Stockholm Tap Festival」にてアジアへの普及をテーマにスカラシップ取得。ハーレ厶の歴史的ジャズクラブ「Cotton Club」、ブロードウェイ屈指のライブハウス「The Iridium」でもパフォーマンスを行う。
東⽇本⼤震災をきっかけに、タップを通じて社会貢献活動を発起。被災地⽀援活動、教育・福祉施設訪問、⼤学講師なども務める。インクルーシブなタップとして、「椅子タップダンス」を提唱。NHK出演、内閣府広報室発行海外向け広報誌「Highlighting Japan」にも特集される。

AKIE as VIOLIN

バイオリニスト。ポストロックやアンビエントなど、モダンな音楽性を主軸とする「JIRI」というバンドでプレイしている。日本のみならず海外でもコアなファンを獲得。タイの大規模音楽フェスにゲストとして招かれるなど頭角を表している。

古山憲太郎 as KITE
劇団モダンスイマーズ所属。18歳で役者志望となり俳優養成所に入学。北野武監督作品『アウトレイジコーダ』、HBOマックスオリジナルシリーズ『TOKYO VICE』(監督:マイケル・マン)など、ドラマや映画でも活躍中。
大沢真一郎 as KAROUJA
映画『カメラを止めるな!』の "プロデューサー"役で知られる俳優。2002年より俳優として活動を開始。また、アシスタントプロデューサーとして多くの作品に参加。 プロデュース作品:『リフレインの鼓動』(2021)、TVドラマ『號哭のカタストロフ』(2018)。
美木マサオ as LUMINA

振付家、演出家。ダンスアートユニット「マサオプション」主宰。振付家として、現在までに100本以上の演劇やミュージカル、2.5次元系舞台などを振り付ける。

犬塚俊輔 as THEO

福岡県出身。18歳から舞台や映画に出演。品川ヒロシ監督作品『リスタート』(2021)、堤幸彦監督作品『希望』(2020)、松本潤監督監督『Infini-T Force』など、ドラマや映画でも活躍中。また、3年ほど前から自身の戯曲の作・演出を開始。

岡部量平 as PERCUSSION

日本大学芸術学部在学中、サンバチーム「ウニアンス・アマドリス」の影響を受け、パーカッショニストとしての活動を開始する。2003年、浅草サンバカーニバルで優勝。ディズニーリゾート」「フジロックフェスティバル」などに出演。現在、Carnavacationのメンバーとして活動中。

JUNKO as PIANO

東京学芸大学で大学院までピアノを専攻し、学術修士号を取得。ピアノソロ奏者、伴奏ピアニスト。TAPダンサー、バレエ等とのコラボレーションを行う。Piano with Headphoneとしてライブ、リリースを行う。

NATA as DIDGERIDOO

オーストラリアで国際的に有名なディジュリドゥ奏者である故Djalu Gurruwiwiに師事。チュニジア共和国から招待を受けサハラ国際フェスティバル(アフリカ・チュニジア)にて日本代表としてパフォーマンスを行う。Pura Dalem bentuyung(インドネシア)、鎌倉鶴岡八幡宮フェスティバル(日本)など、数多くの場所で演奏を行っている。

平岡亜紀 as LUNE

主演長編映画『私を判ってくれない』9月公開/監督作『父さん』(2021) 日本ホラー映画大賞 審査員特別賞/『知らない息子』(2020)八王子Short Film映画祭 グランプリ

佐藤洋祐 as SAX

東京都出身。大学卒業後、2008年に渡米し、トランペット奏者メルビン・バインズにその腕を認められ、彼のバンド「Harlem Jazz Machine」にレギュラー・サックス奏者として参加する。その後、マンハッタンで最も人気のあるジャズクラブ「スモーク」で毎週演奏するようになる。グレゴリーの3枚目のCD「リキッド・スピリット」はグラミー賞にノミネートされ、2014年の "The Best Jazz Vocal Album of the year "に輝いた。

Lily as TAP

中央⼤学卒業後、NYへ単⾝渡⽶。スウェーデンで開かれる世界最⾼峰のタップフェスティバル「Stockholm Tap Festival」にてアジアへの普及をテーマにスカラシップ取得。ハーレ厶の歴史的ジャズクラブ「Cotton Club」、ブロードウェイ屈指のライブハウス「The Iridium」でもパフォーマンスを行う。
東⽇本⼤震災をきっかけに、タップを通じて社会貢献活動を発起。被災地⽀援活動、教育・福祉施設訪問、⼤学講師なども務める。インクルーシブなタップとして、「椅子タップダンス」を提唱。NHK出演、内閣府広報室発行海外向け広報誌「Highlighting Japan」にも特集される。

CREW

TOOWA2
監督・脚本・編集・製作
TOOWA2と書いてトウワツーと読む。映像作家であり、VJである。ストリートダンサーを経て独学で映像制作、VJを始める。これまでにエヴァンゲリオンREMIX DVDへの映像提供や坂上忍 作・演出の舞台『DRUG STORE』の公演を追ったドキュメンタリー作品、Fashion ShowでのVJなどジャンルを横断して活動する。2014年には監督した短編映画『ENSEMBLE』がRaindance Film festival(LONDON)を始めNY, Seoul, Bucheon, そしてカンヌ国際映画祭ショートフィルムコーナーに選出される等、海外でも評価されている。本作品が待望の初長編映画。
PHOTOGRAPHERHAL
撮影
フォトグラファーハルは、2000年頃から愛をテーマとした写真作品を制作し、Photo Lucida(USA)2020 Top 50 photographer、Lens culture Critic's choice 2021, Top10への選出やCanne Lions 2015やSpikes Asiaなど多くの賞を受賞。2010年頃より映画撮影を始め、2015年には映画『森のカフェ』に撮影監督として参加、映画『リリカルスクール』にも参加。2020年には妻との日常を切り取ったショートムービー『シレントライフ』を制作。
https://photographerhal.com
SLF!!
音楽
作曲・編曲・DJとして活動しており、2020年まで東京・海外に活動を広げたエレクトロ&ヒップホップユニット「The Lady Spade」のメンバーとして活動。現在は、音楽制作、DJ、自身のボーカルを活かした音楽制作を続けている。
https://www.youtube.com/SPDSLF
ONI
音楽
インド、中国、ミャンマーの5つ星ホテルツアー、ヨーロッパ、アジア各国でのビッグイベント、大使館でのパーティーなど、世界各地で精力的に活動しているDJ、コンポーザー、リミキサー。国際的なバックグラウンドから、日本の伝統文化を取り入れたアートワークのプロデュースも行っている。トヨタ自動車、東京ディズニーシー、ファッションTV、ランボルギーニ、アニエスベー、ゴディバなどのイベントプロデュースやディレクションを手がける。現在はラウンジハウスユニット「Piano with Headphone」をプロデュースし、2015年に初のコラボアルバムをリリースしている。
ショウジョノトモ
衣装デザイン
身体的な触れ合いの大切さを、絵画、彫刻、映像だけでなく、インタラクティブに表現する現代アーティスト。独自の視点と日本人の気質を表現した作品は、彼女のインスピレーションの源となっている。
スウェーデンの国際美術館に招待され展示会を行ったり、フランスのクールジャパンのイベントでは代表アーティストとしてライブパフォーマンスを行う。また、2011年から2014年にかけて、アメリカのラッパーNICKI MINAJに衣装提供を行った。中でもMTVの授賞式で披露したフェイスマスクは、欧米で議論されるほどの社会的インパクトをもたらした。これをきっかけに、アートは社会を動かすことができると実感し、現在コロナによる孤立を経験したショウジョノトモは、「フェイスマスク」をキーワードとした映像や「ダブルTシャツ」プロジェクトなど、新たな活動を始めている。
http://www.shojonotomo.com
Sayaka Asai
衣装デザイン
氷染作家。完全にはコントロールできない「自然に生まれる偶然の美」に魅せられ、氷で布を染める「氷染」という技法で作品を制作している。特殊なデザイン技法で特許を取得し、現在は東京を拠点に国内外を問わず活動中。
堀 修生
録音・整音・フォーリー
東京藝術大学大学院卒。サウンドエンジニアとして無印良品を始めとした多くのCMに参加している。また六本木アートナイトで立体音響作品を発表している。
YUKIKO
ヘアメイク
大阪ベルェベル美容専門学校、プロフェッショナルアカデミーを最優秀で卒業後、心斎橋のサロンに入社。サロンワークと並行しヘアメイクを学んだ後、拠点を東京へ移し独立。
現在は広告、カタログ、イベント、ショー、アーティスト、グラビアなど多岐に渡る分野で活躍中。
Ayane Kutsumi
ヘアメイク
バンタンデザイン研究所卒業。約3年半のアシスタントを経てヘアメイクアップアーティストとして活動を始める。現在は、東京を拠点に映画やドラマの他 CM、MV、ファッションから企業広告、ジャンル問わず幅広く活動中。これまでに宇賀那健一監督作品にて『適応』『増殖』『消滅』と製作を続けた<『異物』シリーズ>は、トリノ映画祭、モントリオール・ヌーヴォー・シネマ映画祭、エトランジェ映画祭などを筆頭に20ヶ国70以上の映画祭及び映画賞で入選、受賞した。また、酒井善三監督作品『カウンセラー』は短編映画としては異例の反響を呼び、全国にて公開が拡大され注目すべきカルト的話題作となりつつある。本作はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて、短編映画では初のSKIPシティアワード受賞という快挙を達成しており、ヘアメイクとして参加した作品の数々が海外にて評価されている。
Minako
ヘアメイク
東京出身。渡辺サブロウ メイクスクール卒業後、ヘアメイクアップアーティストとして活動を始める。これまでに松居大悟監督作品『ワンダフルワールドエンド』(2015年)や菅乃廣監督作品『OUT ZONE』にメイクとして参加。『ワンダフル〜』はシンガーソングライター・大森靖子のMVが元となっており後に長編映画として制作された。ちなみに第65回ベルリン国際映画祭「ジェネレーション14プラス」部門に正式招待作品として選ばれている。なお、『OUT ZONE』もモントリオール世界映画祭の「WORLD GREATS部門」に、正式招待作品として選ばれており、参加した作品の多くが海外にて評価されている。現在は、長編映画以外にCMや雑誌、MVなどで活動中で、ファッションから企業広告までジャンルを越えて「メイクで人を変えること」を楽しんでる。
井口光穂
制作
グラフィックデザイナーを経て 2016年より脚本家として活動開始。演劇の提供、椿かおり監督作品『BAMBINA STAR』に脚本家・編集者・カメラマンとして参加。
曽根剛監督(映画『カメラを止めるな!』撮影監督)の撮影助手として映画やドラマに参加。
現在は、企業のプロモーションビデオの撮影・編集、映像制作の書籍編集、グラフィックデザイナーとして活動中。
本作ではプロデューサーとして初参加。
石原由紀子
制作

中央大学法学部国際企業関係法学科卒業。Tap Artist Lily氏が主宰するTap Dance Company Freiheit所属。
タップダンサー・インストラクターの傍ら、アーティストマネジメント、イベント企画運営、Web制作、映像編集などマルチに活動。英語圏・中国語圏の業務にも携わる。本作では、制作部として参加。


SLF!!
音楽
作曲・編曲・DJとして活動しており、2020年まで東京・海外に活動を広げたエレクトロ&ヒップホップユニット「The Lady Spade」のメンバーとして活動。現在は、音楽制作、DJ、自身のボーカルを活かした音楽制作を続けている。
https://www.youtube.com/SPDSLF

出演 : 椿かおり / 荒川ちか / Lily / AKIE / 犬塚俊輔 / 岡部量平 / 美木マサオ / JUNKO /
平岡亜紀 / 佐藤洋祐/ NATA / 古山憲太郎 / 大沢真一郎 
撮影 : PHOTORAPHERHAL / TOOWA2 / SLF!! / 曽根剛
衣装 : ショウジョノトモ / Sayaka Asai
音楽 : SLF!! / ONI
録音 : 堀修生
ヘアメイク : YUKIKO / Ayane Kutsumi / Minako
制作 : 井口光穂 / 椿かおり / 大澤真一郎 / 石原由紀子 / TOOWA2
監督・脚本・編集 : TOOWA2
協力 : ファインディング佐倉 / 敷根文裕 / 佐倉フィルムコミッション /
駿河湾沼津FC『ハリプロ映像協会』 / 沼津市 / SobaCafe3〇1
後援 : ARTS for the FUTURE!
配給・製作 : 合同会社AUDIOVISUAL PICTURES

コメント

最初から驚き!そして80分間台詞がひと言もないのに、深く考えさせられる。文明とは、コミュニケーションとは、そして人間とは。これぞ映画の持つ本当の力だ。普遍的な人類の問いを、緑に谺する音魂に乗せて軽やかに魅せてくれる。TOOWA2監督のオリジナリティは今の日本映画にはとても貴重だ。

手塚 眞(ヴィジュアリスト)
言葉を捨て去ることで、言語を超越し、具象表現を避けることで、物語を浮かび上がらせる。終始ディープなグルーヴが画面を支配し、プリミティブなようでいて実はとてもモダンな現代劇だと思った。

田中知之(FPM)
VJのTOOWA2だからこそ発想できた、表現のその先、新たな観客とのコミュニケーションを提案する〈無声/音楽映画〉という新ジャンル。
この唯一無二の異世界に終わりはなく、さらに多角的に極めることによって、映画史に残る美しき怪作が生まれるだろう。

佐々木 誠(映像ディレクター/映画監督)
己の暮らす世界を干からびた家父長制社会と見るか、素朴な絆に守られた音楽的世界と見るかは、置かれた立場であまりに異なる。ヒロインが自分らしく生きるための力を手に入れた途端共同体が崩壊していくさまは、まるで植民地主義とフェミニズムのジレンマのようである。本作のタイトル「EROSION(エロウジョン)」は浸食、崩壊を示すが、文化には常に暴力性が内在することを忘れるならば、私たち現代人が追いすがるイノベーションさえ、儚い幻想(イリュージョン)へと墜ちぶれてしまうのであろう。

万里紗(女優)
本作登場人物たちは言語を介さず、野山で肉体と様々な音のみで対話を行う。それはさながら、原初の世界に舞い踊る精霊たちの如く美しく、しかしどこか危うい。
そんなプリミティブな存在である彼らが禁断の果実を口にした時に起こる出来事を目撃した時、我々は、人があまりにも多くの物を手に入れてしまったがために失ってしまった「何か」の重みに気付き慄然とする。

片岡一郎(活動写真弁士)
言葉のノイズに溢れた現代に吹き抜ける清涼な風。

沈黙と少しの音楽とモノクロがかった画によって制限された世界は、
情報に過呼吸しそうな我々の息を整え、深呼吸へと誘うだろう。


出来れば可能な限り暗い場所で。スマホを置いて。
つまり映画館で見るべき…動画ではなく…これが「映画」だ。

松永天馬(アーバンギャルド)

TOOWA2はなぜ、本作を色味を極限までに排除した世界にしたのか。大自然の中、表情で、全身で喜怒哀楽を伝えようとする音には、「〜にくさ」故の魂が宿り、汗の匂いさえも感じる。そこに、色彩という説明ももはや不要と考えたのではないか。街ゆく人を見てわかった気がする。眼膜に映る景色は色鮮やかなのに、表情は無。言葉が、「〜にくさ」を私たちから奪ってしまったのか。現代に失われしものがこの映画にはある。



河野知美(俳優・映画プロデューサー)
難しいチャレンジに挑む姿勢に感動を覚えました。作品は想像を超えて美しい世界観、圧倒でした。映画を観た後にタイトルの意味を想うと自然界への私達の侵食についても考えさせられました。言葉がないからこそ観た人それぞれが何かを見い出し、その行為が美しいと感じました。私も時に静かに耳を澄ませて見えてくるものと向き合いたいなと思いました。

合アレン(俳優・プロデューサー)
『EROSION』
ーは、森の声。
喉を震わせて声を発することの出来ない木々たちの、ささやき、叫び、嘆き、怒り、喜びの「声」。
音の無い声。
風に揺れ、葉と葉を擦り合わせ、時に枝をぶつけ合う。
木々の足元の小さな川の音、鳥や昆虫たちの鳴き声。
それらの無限の森の声(音)が重なり合い、新しいコミュニケーション能力を産んでいく様を感じる繊細な音響と映像。
映画『EROSION』は人間や楽器を使いながら、森の声を具現化した鋭角的な音の映画だ。
1950年代末のフランスの映画作家ゴダールやトリュフォーたちが起こした映画運動の革命『ヌーベルバーグ』。
そして2022年、コロナ禍から生まれた新しいコミュニケーション映画革命とも呼べる映画『EROSION』がここに誕生した。

今関あきよし(映画監督)
言葉を捨て去ることで、言語を超越し、具象表現を避けることで、物語を浮かび上がらせる。終始ディープなグルーヴが画面を支配し、プリミティブなようでいて実はとてもモダンな現代劇だと思った。

田中知之(FPM)

劇場情報

2023年 4月8日(土)〜 14日(金) 大阪・十三シアターセブン| レイトショー
2023年 2月5日(日)〜 7日(火)
代官山|19:30 ~ 21:30 アフターイベント有
2022年 12月17日(土)〜 23日(金) 渋谷ユーロスペース|21:00 ~(レイトショー)アフターイベント有
2023年 2月5日(日)〜 7日(火)
代官山|19:30 ~ 21:30 アフターイベント有

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